イベントの提案依頼書(RFP)の書き方11の項目とテンプレート、記入例

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カンファレンスやセミナーを外に頼むと決まり、何社かに提案をお願いすることになった。そこで上長から「RFPを書いておいて」と言われる——はじめての人にとっては、何をどこまで書けばいいのか分からない書類です。

提案依頼書(RFP)の書き方で、届く提案の中身が変わります。渡した書類が薄いと、各社が別々の前提で提案をつくり、届いた提案を並べても比べられません。書くべきことが書いてあれば、各社が同じ前提で考え、自社の目的に合わせた提案が返ってきます。

この記事では、イベントの提案依頼書の書き方を、項目ごとの書き方、コピーして使えるテンプレート、記入例、選定の日程、届いた提案の比べ方の順にまとめます。そもそも外にどこまで頼めるかはイベント・カンファレンス運営代行はどこまで頼める?に、声をかける相手の選び方はカンファレンスの企画会社の選び方に書いています。

提案依頼書(RFP)は、企画書・仕様書と何が違うか

似た書類が3つあります。誰に向けて、何のために書くかが違います。

書類 読む人 目的 書く時期
企画書 社内の決裁する人 イベントを開くことを決めてもらう 開くかどうかを決める前
提案依頼書(RFP) 依頼先の候補 目的に合う進め方と見積もりを提案してもらう 開くと決まり、依頼先を選ぶ前
仕様書 決まった依頼先 決まった中身と範囲を、正確に伝える 依頼先と中身が決まったあと

RFPは、企画書と仕様書のあいだにある書類です。決まっていることは書き、決まっていないことは「未定」と書いて、そこに提案をもらいます。仕様書のように全部を決めてから渡すと、依頼先の知恵を借りる余地がなくなります。企画書をそのまま渡すと、社内向けの説明が多いわりに、依頼先が知りたいこと(範囲・予算・選び方・期限)が抜けます。

社内で通す企画書の書き方はイベント企画書の書き方にまとめています。RFPは、その企画書の中身を依頼先に向けて書き直し、足りない項目を足したものと考えると書きやすくなります。

RFPに書く11の項目

イベントのRFPには、次の11の項目を入れます。1つの項目は数行で足ります。

  1. はじめに:会社と担当部署の紹介、この依頼に至った背景
  2. 目的と成功の基準:何のために開くか。終わったあと、誰がどう動いていたら成功か
  3. 来てほしい人と規模:役職・部署・業種と、人数の目安
  4. 日程・会場・形式:開きたい時期、会場か、オンラインか、両方か
  5. 依頼する範囲:頼みたいこと、相談したいこと、社内で持つこと
  6. 決まっていること・未定のこと:登壇者・会場・プログラムの決まり具合
  7. 予算の考え方:上限と、何を含めた金額か
  8. 提案に入れてほしいこと:提案書の中身と、見積もりの書き方
  9. 選び方:何を重視して選ぶか
  10. 選定の日程:質問の締め切り、提案の締め切り、説明の場、決める日
  11. 提出のしかたと連絡先:提出の方法、情報の扱い、担当者

運営代行の記事で挙げた依頼時の9項目と重なる部分もありますが、RFPでは8〜10の「提案に入れてほしいこと」「選び方」「選定の日程」に重みがあります。ここが書いてあるかどうかで、届く提案のそろい方が変わります。以下、迷いやすい項目の書き方を順に見ていきます。

目的は「終わったあとの姿」で書く

目的の欄でよく見かけるのは、「認知を広げる」「お客様との関係を深める」のような書き方です。間違いではありませんが、これだけだと、依頼先はどんな提案でも「目的に合っている」と言えてしまいます。

書くのは、終わったあと、誰がどう動いていたら成功かまでです。

  • 広すぎる書き方:「見込みのお客様との関係を深める」
  • 提案が絞れる書き方:「人事部門の責任者に、自社の考え方と事例を知ってもらう。終わったあと2か月以内に、来場した会社との商談を始めたい」

成功の基準に数字を入れられるなら入れます。決まっていなければ「成功の基準も一緒に考えてほしい」と書いて構いません。各社がそこに何を返してくるかも、比べる材料になります。指標の立て方はイベントの効果測定にまとめています。

依頼する範囲は「頼む・相談したい・社内で持つ」に分ける

範囲の書き方があいまいだと、見積もりが比べられなくなります。「運営をお願いしたい」とだけ書くと、ある会社は当日だけを、別の会社は集客や終わったあとまで含めて見積もるからです。

仕事を並べて、1つずつ3つのどれかに当てはめます。

仕事 分け方
目的と来てほしい人を決める 社内で持つ
プログラムと登壇者の案 相談したい
登壇者への打診 社内で持つ
申込ページと申込の管理 頼む
告知の計画と配信 頼む
お客様への個別の招待 社内で持つ
会場の手配 相談したい
当日の運営(受付・誘導・進行) 頼む
配信と録画 頼む
アンケートと振り返りの報告 頼む

「相談したい」があると、各社がそこにどんな案を出してくるかで、考え方の違いが見えます。「社内で持つ」も必ず書いてください。書かないと、各社は安全側に多めに見積もるか、逆に抜け落ちたまま見積もるかのどちらかになります。

予算は「上限と、含めるもの」を書く

予算をRFPに書くかどうかは、迷うところです。書き方は3つあります。

書き方 良いところ 気をつけたいこと
上限を書く 規模の読み違いがなく、その範囲で考えた案が返ってくる 上限に近い見積もりがそろいやすい
幅を書く 上限と下限で、できることの違いを見せてもらえる 幅が広すぎると、規模を読み違える
書かない 各社の考える規模が見える 規模がばらばらになり、比べられない

おすすめは、上限を書いたうえで、何を含めた金額かを添えることです。「会場・機材・運営・集客を含めて〇〇円まで。登壇者への謝礼は別」のように、含めるものと含めないものを並べます。上限に近い見積もりばかりになるのが心配なら、「上限の中で、優先する順番も提案してほしい」と添えると、削るならどこからかまで見えてきます。

金額を伏せる場合も、規模の手がかり(人数の目安、会場か、配信をするか)は必ず書いてください。費用が何で動くかはカンファレンス開催の費用にまとめています。

提案に入れてほしいことと、見積もりの書き方を指定する

提案書の中身を指定しないと、各社が得意な形で書いてくるので、並べたときに比べる場所が見つかりません。RFPには、提案に必ず入れてほしいことを並べます。

  1. 目的の受け取り方:こちらの目的を、どう受け取ったか
  2. 全体の進め方:準備から終わったあとまでの流れと、時期ごとに社内で決めること
  3. プログラムの案:構成と、そう組んだ理由
  4. 集客の計画:誰に、いつ、何回、どの経路で案内するか
  5. 当日の体制:誰が現場に立ち、困ったときに誰が決めるか
  6. 終わったあとの流れ:アンケート、報告、商談につなげる流れ、次の回への申し送り
  7. 見積もり:指定した書き方で
  8. 似た条件で手がけた例:社名を出せない場合は、業種と規模と役割で

見積もりは、書き方をそろえてもらうと、並べて比べられるようになります。項目を「企画・進行」「集客」「当日の運営」「配信・録画」「終わったあと」「実費(会場・機材・飲食など)」に分け、それぞれに含まれるものと、含まれないものを書いてもらいます。運営の費用と実費が分かれていれば、規模を変えたときにどこが動くかも分かります。

集客の計画は、各社の差が出やすいところです。経路と時期が具体的に書かれているかを見るときは、自社カンファレンスの集客方法の6つの経路が目安になります。

選定の日程と、質問の受け方

RFPには、決めるまでの日程を入れます。たとえば次のような流れです。

段階 目安
質問の締め切り RFPを送ってから1週間
質問への回答 締め切りから数日以内に、全社へ同じ内容で
提案の締め切り RFPを送ってから2週間ほど
提案の説明の場 締め切りの翌週に、各社1時間ほど
決定と、各社への連絡 説明の場から1週間ほど

質問は、受けた質問と答えを、全社に同じ形で共有します。1社にだけ答えると、その会社だけが詳しい前提で提案することになり、比べられなくなります。

選ばなかった会社にも、決めた日のうちか翌日には連絡します。理由を一言添えると、次に相談するときの関係が保てます。

コピーして使えるテンプレート

ここまでの11の項目を、そのまま使える形にしました。コピーして、自社の内容に書き換えてください。

イベントの提案依頼書(RFP)

1. はじめに
・会社と担当部署:
・この依頼に至った背景:

2. 目的と成功の基準
・目的(終わったあと、誰がどう動いていたら成功か):
・成功の基準(数字があれば):

3. 来てほしい人と規模
・来てほしい人(役職・部署・業種):
・人数の目安:

4. 日程・会場・形式
・開きたい時期:
・会場/オンライン/両方:
・会場の決まり具合:

5. 依頼する範囲
・頼みたいこと:
・相談したいこと:
・社内で持つこと:

6. 決まっていること・未定のこと
・決まっていること:
・未定のこと(提案がほしいこと):

7. 予算の考え方
・上限:
・含めるもの/含めないもの:

8. 提案に入れてほしいこと
・目的の受け取り方/全体の進め方/プログラムの案/集客の計画
・当日の体制/終わったあとの流れ/似た条件で手がけた例
・見積もり(企画・進行/集客/当日の運営/配信・録画/終わったあと/実費に分け、含まれないものも書く)

9. 選び方
・重視すること(重視する順に):

10. 選定の日程
・質問の締め切り:
・提案の締め切り:
・説明の場:
・決定の連絡:

11. 提出のしかたと連絡先
・提出の方法と形式:
・情報の扱い:
・担当者と連絡先:

記入例:見込みのお客様に向けた自社カンファレンス

架空の例です。人事向けのクラウドサービスを提供する会社が、見込みのお客様に向けた自社カンファレンスをはじめて開く場合を想定しています。

項目 記入例
はじめに 人事向けのクラウドサービスを提供している。これまでの集客はウェビナーが中心で、検討の進んだ会社と直接会って話す場がない。社内にカンファレンスを開いた経験のある人はいない
目的と成功の基準 人事部門の責任者に、自社の考え方とお客様の事例を知ってもらう。終わったあと2か月以内に、来場した会社との商談を始めたい。数の基準は、提案の中で一緒に考えてほしい
来てほしい人と規模 従業員300名以上の会社の、人事部長と人事企画の責任者。来場100〜150人
日程・会場・形式 来年の秋の平日の午後。都内の会場で開き、配信はしない。会場は未定
依頼する範囲 頼む=申込ページと申込の管理、告知の配信、当日の運営、アンケートと報告。相談したい=プログラムの構成、会場、懇親会の形。社内で持つ=目的と来てほしい人、登壇者への打診、営業からの個別の招待
決まっていること・未定のこと 決まっている=基調講演は代表。お客様の事例の登壇は2社が内諾。未定=パネルディスカッションを入れるか、懇親会を開くか
予算の考え方 会場・機材・運営・集客を含めて〇〇円まで。登壇者への謝礼と懇親会の飲食は別。上限の中で、優先する順番も提案してほしい
提案に入れてほしいこと テンプレートの8のとおり。とくに集客の計画と、終わったあとに営業へ引き渡す流れを詳しく
選び方 終わったあとの流れの具体さ、集客の計画、当日の体制、金額の順に重視する
選定の日程 質問の締め切りは送ってから1週間、提案の締め切りは2週間後。説明の場はその翌週に各社1時間
提出のしかたと連絡先 PDFをメールで提出。この資料の内容は、提案をつくる目的にだけ使うこと。担当はマーケティング部

選び方の欄に重視する順番まで書いておくと、各社はその順番で力を入れてきます。この例なら、終わったあとの流れが薄い提案は、金額が安くても上位に来ません。

届いた提案の比べ方

提案が届いたら、金額より先に、中身を同じ観点で並べます。目的の言い直し・集客の計画・プログラム・当日の体制・終わったあと・見積もりの6つの観点と、社内の2〜3人が別々に評価してから持ち寄る進め方は、カンファレンスの企画会社の選び方で詳しく書いています。

RFPを書いた側として、そこに加えて確かめたいのは2つです。

  • RFPに書いた「選び方」の順番で評価しているか:説明の場で印象の良かった会社に、評価が引っぱられていないか。RFPに書いた順番を、評価の重みにそのまま使います
  • 「未定」と「相談したい」に何を返してきたか:決まっていないところへの案には、各社の考え方がよく出ます。こちらの案をなぞっただけの提案と、理由をつけて別の案を出してきた提案とでは、準備の期間に頼れる度合いが違います

よくある質問

RFPは、何社に送ればいいですか?

2〜3社が目安です。多すぎると、質問への回答や説明の場、届いた提案を読む時間が足りなくなります。はじめての開催で、何を頼めばいいかから分からないときは、先に1社と話して範囲を整理してから、RFPをつくる順番でも構いません。

社内で決まっていないことが多く、RFPが書けません。

決まっていないことは「未定」と書いて出して大丈夫です。空欄にすると、各社が別々の前提で埋めてしまいます。目的と来てほしい人さえ決まっていれば、残りは提案をもらいながら決められます。目的そのものが決まらないなら、RFPの前に、その相談から始めてください。

社外に出せない情報は、どこまで書けばいいですか?

RFPは複数の会社に渡る書類なので、お客様の名前や売上など、社外に出せない情報は本文に書きません。規模や業種、課題の形で書けば、提案には十分です。詳しい情報が必要になったら、情報の扱いについて約束を交わした会社にだけ、別紙で渡します。

まとめ

  • 提案依頼書(RFP)は企画書と仕様書のあいだにあり、決まっていることを書き、決まっていないことに提案をもらうための書類
  • 項目は11。とくに提案に入れてほしいこと・選び方・選定の日程が、届く提案のそろい方を決める
  • 目的は終わったあとの姿で書き、範囲は仕事ごとに頼む・相談したい・社内で持つに分ける
  • 予算は上限と、含めるもの・含めないものを書く
  • 見積もりは書き方をそろえてもらい、含まれないものも書いてもらう
  • 質問への回答は全社に共有し、選ばなかった会社にも連絡する

hytenは、自社カンファレンスやセミナーの企画から当日の統括、終わったあとの振り返りまでをお引き受けしています。2回目からの運営もお任せいただけます。RFPを書く前の、目的と範囲を整理するところからのご相談も歓迎です。詳しくはイベント初開催支援・運営代行をご覧ください。お任せいただく場合の月額の目安と別にかかる実費は、費用の目安で質問に答えると30秒で分かります。

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